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〜 スーパーナノトロンDXの材料である「MEK-01」をインプラント関連感染症予防に 〜
「スーパーナノトロンDX」は、人体には安全無害で、細菌やウイルスに対しては強力な殺菌効果があります。
スーパーナノトロンDXの材料の光触媒水溶性 酸化チタン(TiO
2)「MEK-01」を体内埋込インプラントの感染症予防に適用した論文が発表されましたので、以下に抜粋してご紹介させて頂きます。

「光触媒酸化チタン微粒子溶液の黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果」
第23回 日本整形外科学会基礎学術集会より
1.はじめに
整形外科領域において,化膿性関節炎や細菌性骨髄炎,膿瘍などの骨・関節感染症は,一般に難治性であり,多数回手術を必要とすることも少なくない。また,体内埋入インプラント関連感染症もしばしば経験する。その予防には種々の対策が講じられているにもかかわらず,依然として整形外科手術例の0.2〜17.3%に術後感染が発生するといわれている。
こうした骨・関節感染症で,最も頻度の高い起炎菌は黄色ブドウ球菌である。 - 中略 -

こうした問題に対し,著者らは酸化チタン(TiO
2)の光触媒作用に注目している。TiO2は,紫外線によって-OH,O2-,HO2-,H202などのフリーラジカルを放出し,その強力な酸化力によって表面に付着した細菌などの有機物を溶解する性質がある。
以前,著者らはTiO
2薄膜の抗菌性について報告したが,標的となる菌との接着性に問題があった。
そこで,TiO
2自体を小さな微粒子にして水溶液中に分散させれば,紫外線への曝露性と細菌への接着性を向上でき,感染症発生の予防のみならず有効な治療として応用できると考え,水溶性TiO2微粒子を作製した。 - 中略 -

本研究の目的は,TiO2の光触媒殺菌活性を示す水溶性TiO2微粒子を作製することと,このTiO2微粒子水溶液を用いて黄色ブドウ球菌に対する光触媒抗菌効果をin vitroで評価し,紫外線照射時間と抗菌活性との関係を検討することである。
2.対象と方法
四塩化チタンのガスを気相法で加熱焼成することで,表面にrutile型,内部にanatase型結晶を有するTiO2微粒子を作製した。一次粒子の直径は平均21nm,BET比表面積は50m2g-1である。
これにpHを調整するための過炭酸ナトリウムやクエン酸などの可溶成分を加えて固形粉末とした(MEK-01:Nanowave,Aichi,Japan)。 - 中略 -

照射時間は,最大120分まで行い,TiO2溶液中の菌液を1,000μlのPhosphate-Buffered Salineで希釈した。その希釈菌液を回収して,Compact Dry TC培養キット(Nissui Pharmaceutical,Tokyo,Japan)に24時間培養した。0,5,10,15,20,30,45,60,90,120分の紫外線照射時間におけるそれぞれのcolony-forming units(CFU)を5回ずつ計測し,生菌率を下記のように算出した。
生菌率(α分)= CFU(α分)×100/CFU(0分)TiO
2溶液とコントロール群(蒸留水),UVA照射の有無によって4群に分け,統計学的に検討した(一元配置分散分析法:ANOVA,多重比較検定)。
  ・グループ1:TiO2溶液+UVA照射あり
  
・グループ2:TiO2溶液+UVAを遮蔽
  
・グループ3:蒸留水+UVA照射あり
  
・グループ4:蒸留水+UVAを遮蔽
Staphylococcus aureus
(黄色ブドウ球菌)の生菌率

紫外線照射20〜90分において,
グループ1(△)はほかのグループよりも有意に生菌率を抑制した(p<0.05)。
3.結果
TiO2微粒子粉末は,室温で蒸留水に速やかに溶解し,以後沈澱や析出現象は認めなかった。 - 中略 -
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)に対する殺菌性について,照射時間と生菌率の変化を図に示す。
蒸留水+UVなし群(グループ4)では,120分後も平均83.3%と高い値を維持した。
TiO2溶液+UVなし群(グループ2)蒸留水+UVあり群(グループ3)は,経時的に生菌率は緩やかに低下したものの,60分で各々平均81.3%,65.3%であった。
しかし,
TiO2溶液十UVあり群(グループ1)では,UV照射後急速に低下し,30分で17.3%,60分では0.4%とUV照射30分以降は他群より有意差をもって生菌率を抑制した(ANOVA:p<0.05)。完全に黄色ブドウ球菌を不活化しえたのは,UV照射90分時点であった。


4.考察
TiO2は,3種類の結晶形(rutile,anatase,brookite)を有し,紫外線があたると半導体に変化する性質がある。表面にできた電子と正孔が,水や酸素と反応して種々の活性酸素を生成する。
その酸化作用は,塩素や次亜塩素酸,過酸化水素よりも強く,細菌を始めとする有機物を分解する能力がある。化学構造的にも安定しており,生体毒性もないため,水質や大気汚染の浄化など環境分野で応用されつつある。 - 中略 -

紫外線は,それ自身に殺菌能力があることは広く認知されている。本研究でも,
蒸留水+UVあり群(グループ3)において60分で平均65,3%,120分で50.2%と,経時的に黄色ブドウ球菌を不活性化させた。
また,同様に TiO2溶液+UVなし群(グループ2)でも経時的に生薗率が緩やかに低下した。この背景には,MEK-01が実験室内の太陽光や蛍光灯の光に反応して,光触媒殺菌効果を示した可能性が考えられる。
しかし,
TiO2溶液十UVあり群(グループ1)では,紫外線照射30分以降において他群よりも有意差をもって生菌率を抑制した。このことは,TiO2微粒子の光触媒作用が,同菌に対して有効に発現したことを示唆している。 - 中略 -

本研究ではTiO2を水溶液として使用した。菌種や株種,生成法が異なるため,純粋に固形TiO2との抗菌性比較はできないが,TiO2を水溶性微粒子にすることで,表面積が拡大し,紫外線の吸光性と細菌への接触率は向上すると考えられる。
手術時の細菌汚染はインプラント表面のみとは限らない。また,感染性偽関節や骨髄炎,関節炎や膿瘍などの感染症では,起炎菌は一定の空間の中に飛散,浮遊するものと,組織間の隙間に隠れて存在するものが併存している。
こうした細菌を固形のTiO
2に接触させるのは困難であるが,水溶液中の微粒子として分散させれば,殺菌能力が向上すると考えられる。
つまり,TiO
2水溶液を体内に埋入するインプラント表面に噴霧したり,洗浄液や潅流液に使用できれば,接触した細菌を効率的に死滅させ,その繁殖を抑制できると考えられる。 - 中略 -


5.まとめ
TiO2の光触媒殺菌活性を示すTiO2微粒子の0.5%水溶液を用いて,黄色ブドウ球菌に対する光触媒抗菌効果を証明できたことから,各種感染症の発生予防法,および有効な治療法の1つとして期待できる。
「光触媒酸化チタン微粒子溶液の黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果」
小関弘展 白石公太郎 弦本敏行 進藤裕幸 馬場恒明 垰田博史

第23回 日本整形外科学会基礎学術集会(平成20年10月23日・24日)で発表されました。

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